風水でフェラーリ様は買えるのか!: 転機

2011年01月19日

転機 vol.31 『旅の果てに』

ずぶの素人から始めた営業職も早くも3年が経った。入れ替わりの激しい営業の世界。
同期と呼べる仲間はもういない。ツキだけ続けてこれた、そう思っている。

けんもほろろに断られる飛び込み営業。お客様宅を移動する際は『ツイてるツイてる
ツイてる!次は受注貰えるぞ!』と独り言を言いながら回った。ラッキーにもたまに
お客様に『ちょうどインターネットの見直しをしていたところだよ。いいとこに来たね』
など言われ、即日受注を頂いたりする事もあり、ツキだけの営業成績だったと思う。

そんなある日。昨年、オレさまの口座に数百万円のお金が振り込まれた。言霊の力か
或いは風水の力かは分からないが、何かの見返りの様に思えた。しかし浅はかなオレ
さまは、これで中古フェラーリが買える!と小躍りした。だが時間が経つに連れてある
気持ちが心を支配した。

これ、オレだけの金じゃねえなぁ...』

風水では大金を得た際には、寄付をするなり他人の為に一部使うと良いとされる。この
考え方がどこか片隅にはあった。しかし本音を言えば、事故からの数年ツライと思える
時もあった。自分の為に使いたいと思ったが、やはり親、兄弟への何かお返しをしなけ
ればと思った。事故後、身体が不自由な時は親、兄弟の支えはやはり無視出来るもので
は無かった。そして親父、兄貴、兄貴の嫁さんのコンちゃん、双子のスーパーブラザー
の俊ちゃん宏ちゃんを誘い、上諏訪温泉への1泊2日の吉方位旅行へ向かった。珍しく
旅の費用は全額負担した。こんな事は初めての事だった。

とは言え、旅の手配をする段階では、何度もこの費用があれば1人で10日間は旅出来る
なぁ〜などと思い、セコイ自分が顔を出した。『感謝の旅』であるはずが...

しかし、この旅は楽しかった。ただ楽しかった。素直に来て良かった、自分が負担して
皆が喜ぶのがこれほど良いものとは思わなかった。ここに集まった皆がこの旅の意味を
理解していてくれた。親父もその一人だった。珍しく2人で温泉に浸かっていた時、こう
言われた。

『今日の費用、誰に払えばいいんだ?』
『いや...オレ、ちょっと大きな金入ったから、オレが全額出すよ。色々あったし...』
『あぁ、そうか。ありがとう。』

親父にシラフで『ありがとう』と言われた記憶が無かった。照れくさいがうれしかった。
そんな旅の夜。酒飲み一家のあぶら家。当然のごとく『宴』が始まった。酒が進むに連れ、
事故の話に進んだ。皆、回復を喜んでくれた。そんな中、兄貴にこう言われた。

あの時期、勝行(本名)は頑張ったよな!』

涙が溢れた。どうしようもなかった。子供がいたので何とか堪えたが、どうにもならなかった。
うれしかった。ただただうれしかった。誰も分からないと思っていた。事故後の不自由な身体
の状態。そして明日の予定すら無い毎日。誰にも分かる訳ないと思っていた。退院後に一時
的に親、兄弟とも衝突する事すらあった。親、兄弟でも分からないんだ。他に分かる奴など
いない。そう思っていた。しかし、分かってくれる人がいたのだった。

言霊と人々の力で復活を遂げたオレさま。ツキはまだある。諦めてはいけない。

真黒に染まったオレの心を兄貴のたった一言が、まるでオセロゲームの様に、最後の一手で
真っ白に変えた瞬間だった。


                                    『転機』 終わり

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posted by あぶら at 22:01| Comment(8) | 転機 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月18日

転機 vol.30 『採用』

『簡単な試験をします。30問くらいの簡単なものですので。』そう言われた試験
だが、間違いなく3問しか解答出来なかった。採用など夢のまた夢に思われた。

法人向けのインターネット回線を主に販売する営業職に応募したオレさまだが、
呆れかえるばかりの試験内容にアルバイトを探し始めていた。面接の際に聞いた
給与面での充実ぶりに興味は抱いたが、いくらなんでも無理だろと諦めていた。
この頃、いい加減に仕事が決まらないと収入面での不安を隠せなかった。いつ
までも日給数千円のアルバイトでは、先がおぼつか無い。この面接は時期的に
最終判断を迫られる状態であった。がしかし...

もう気持ちを切り替えて次に向かおう。少しでも良い条件のアルバイトを見つけ
パソコンが出来る様になろう。プラス一般常識の勉強も始めよう。そう思っていた。
そして数日が経った。さすがに連絡も無い。またか...そう思った矢先に人材派遣
会社より連絡が入った。また仕事の紹介かな?

『あぶらさんですか。遅くなりましたが先日の採用面接ですが...』
『はぁ...』
『採用です。』
『ハッ?。ウソでしょ。どうしてですか?』
『分かりません。もし詳しく内容を聞きたいというなら、また面接した先に確認して
 下さい。』
『はぁ...』

何がなんだか分からなかった。うれしいというより、3問しか試験に答えられない
奴を採用した根拠が分からなかった。人材派遣会社の担当より教えてもらった電話
番号に連絡した。

『先日、面接を受けたあぶらですが...。採用って本当ですか?』

単刀直入にそう聞いた。何かの間違いとしか思えなかった。だが気持ちはウソでも
いいから受かってくれと叫んでいた。

『ええ、合格ですよ。』
『パソコンも出来ないですし、試験内容も良くなかったと思うんですが...』
我々はスキルばかりを見ている訳ではありません。パソコンくらいこの機会に覚え
 ればいいじゃないですか
。』

うれしかった。ツイていた。ラッキーだった。そうとしか思えなかった。
こう言って頂いた方に報いるしかない。出来る事を必死にやるしかなかった。
ただ、その場を頂いた事に感謝するしかなかった。

こうして35過ぎた新人営業マンが誕生した。会社にはタイピング練習用のパソコン
まで用意して頂いた。そして毎日『宇宙戦艦ヤマト』のタイピングソフトに向かい、
ブラインドタッチの練習と、飛び込み営業に明け暮れたのだった。夕方過ぎると、
古代進に『それでも宇宙戦艦ヤマトの乗組員かっ!』と怒鳴られるオレさまがいた。

一度は諦めかけたオレさま。ツキはまだそこにあったのだった。


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posted by あぶら at 21:41| Comment(8) | 転機 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月17日

転機 vol.29 『採用面接』

『あぶらさん、営業職希望でしたよね?。企業のホームぺージを作成して、そのアクセス数
 が多ければ、あぶらさんのインセンティブになる仕事があるんですが、どうですか?』

タイピングさえ出来ないオレさまに、どうしてホームページなど売れるのか分からなかった。
がしかし、インセンティブには反応してしまった。これはやればやる程儲かる仕事では?と
期待していた。バイク便の仕事とは結局は社内で人間関係がうまく行っている人が売上を
伸ばす様な側面があった。そのライダーが対外的にはクレームが多いライダーであったと
しても、あまり関係は無かった。プラス、バイク便で売上を上げるには最後は『時間』を
多く割くしかない。これでは効率良く稼げない。自分の力量が給与にダイレクトに反映さ
れる仕事がしたかった。だが、よりによって一番縁遠いインターネット業界とは…

指定された場所に出向いたオレさま。取りあえず話だけ聞くという約束であった。オフィス
内に入ると1,2人しか居なかった。不気味な感じがした。会議室の様な場所に通されて
待つオレさま。大丈夫かな〜この会社?などと思っていると二人の担当者がやって来た。
挨拶もそこそこに開口一番こう言った。

『弊社を選んだ理由はなんですか?』

…選んだ理由って言われても、話を聞くだけでは?と言い返しそうになった。しかしその
瞬間、これは面接である事を悟った。腹を括り営業職を希望している事を中心に、ありの
ままの自分を語りだした。バイク便を事故を契機に退職した事、今現在の状況、自身の成
績がダイレクトに給与に反映される仕事がしたいなどと、思うままに話した。そして業務
内容に事が進んだ。

『ホームページを販売すると聞いています。』
『確かにホームページは販売します。しかしメインの商材は…』

どうやらホームページの販売目標は無く、法人向けの固定電話の割引サービス、インター
ネット回線の販売が中心のようだ。話が違うだろと思ったが給与体系の話になり俄然オレ
さまは喰いついた。研修期間でも商品管理のアルバイトより良いし、インセンティブ表を
見せて頂き、これなら自分の頑張りがダイレクトに給与に反映される。これこそが自分
がやりたかった仕事では?これならフェラーリ様購入も現実的になるのでは、そう思った。
しかし自身の興奮とは別に、現実を思い知らされた。それは面接終了後に行われたペーパ
ーテストにあった。

『簡単な試験をします。30問くらいの簡単なものですので。』

しかし…全く出来なかった。内容は一般常識とIT系の企業である為に、インターネット
関連の質問がメインだった。タイピングすら出来ないオレさま。大嫌いなインターネット
系の問題。ほぼ全滅。合っていると思えたのは、わずか3問のみ。愕然とした。いくら何
でも3問では受かるはずが無いと思った。全ての行程が終わりオフィスを後にした。後日
合否の連絡をすると言う。
 
終わった。こりゃ無理だ、そう思った。帰りがけに本屋さんに寄り、一般常識の問題集を
買って帰った。世の中パソコンが使えないと採用してくれないんだ。これが分かっただけ
でもイイだろ。派遣会社のパソコンスクールに通いながら、当面は今より割の良いバイト
でもしよう。そしてまた機会を待とう。それまでは足りないスキルを勉強しよう。これしか
無いだろ。

春だというのに、オレさまの心は五里霧中だった。

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posted by あぶら at 21:37| Comment(2) | 転機 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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